知財COLUMN

特許庁主催による平成30年度知的財産権制度説明会(実務者向け)から

2019年02月08日

 

 特許庁主催による平成30年度知的財産権制度説明会(実務者向け)が本年1月17日に終了しました。本説明会は知的財産の業務に携わっている実務者を対象に、制度の円滑な運用を図るため、実務上必要な知識の習得を目的とした実務者向け説明会で、全国の主要都市で開催されました。東京では以下の通り、7回にわたり実施されました。

 

1  102日(火)職務発明制度の概要、不正競争防止法と平成30年法改正概要他

2 1022日(月)商標の国際登録制度(マドリッド制度)について他

3 1126日(月)要約書作成のポイント他

4 125() 意匠の国際登録制度(ハーグ制度)について他

5 1212日(水)知財動向と特許庁施策

6 1218日(火)国際調査及び国際予備審査他

7 117日(木)知的財産と標準化によるビジネス戦略他

 

 本説明会で使用する資料は、説明用資料(PP)と詳細なテキストが配布されました。

その配布資料は、特許庁ホームページに掲載(以下のURL)されています。

https://www.jpo.go.jp/torikumi/ibento/text/h30_jitsumusya_txt.htm

 

 本説明会は毎年実施されており、知的財産権関係の業務に携わっておられる大勢の方が毎年聴講されております。

 説明会内容は産業財産権(特許権、実用新案権、意匠権、商標権)のほとんどの最新情報(法改正、申請関係、審査関係、条約関係(国際出願、国際登録制度等))が含まれ産業財産権をより深く知る為には大変いい機会です。むしろ、毎年のように関連の法改正がなされており、本実務者向け説明会は、この道の業務に携わる者にとっては欠かせないものとなっております。当社からもほぼ毎回出席し聴講してきました。

 今回の知財カラムでは、その中で、第5回に実施された説明会(知的動向と特許庁施策)と資料から感想を述べたいと思います。

 

1.研究開発投資

  統計のある1981年から2015年間で、

 「中国の伸び率は飛びぬけて大きく、その勢いは衰えていない!」

 「中国は2015年にはEUを抜き、米国に次ぐ世界第二位に躍進!」

 「日本は世界第4位だが、投資額では、中国の半分以下!」

 

  如何に中国の伸びが驚異的かがわかる。

尚、単年度(2015年)で、最も多い国ベストスリーは以下の通り。

   第一位:米国

   第二位:中国

   第三位:EU

   第四位:日本

 

  日本は第四位ですが、投資額(購買力平価ベース)で日本と第三位のEUとどれだけ差があるかというと、約日本の2倍以上差がある。2014年に中国はEUを抜き第二位になったが、米国との差は、まだ1000億ドル近くある。しかし、中国は2003年あたりから急激に研究開発投資を進めEUを抜き米国に接近しつつあり、その勢いは衰えていない。このままではいずれ米国も中国に抜かれるのではと心配される方もおられるかもしれない程、急激な伸びである。

このデータから、技術立国としての日本の将来を危惧せざるを得ないが、如何せん、研究開発投資はその国の経済力に左右される為、研究の効果を高め、或いは研究分野を強みがある分野に絞る等、研究開発戦略とその実行が問われていると思う。

 

2.発表論文数推移について

  発表論文数も研究開発投資額の傾向と同じように中国の伸び率は高く、2006年には日本及びEU各国を抜き、2015年段階で米国に次ぐ世界第二位に躍進している。

尚、日本は、15年間ほぼ横ばい傾向が続いており、2008年にはドイツに抜かれ2015年で世界第4位まで落ちている。

  論文の数だけでその国の技術力を比較・評価はできないが、この点においても日本の将来に不安が残る。

 

3.主要国の特許出願件数推移について

 「米国、日本、欧州、韓国の特許出願数もここ5年ぐらいほとんど変わらないが、中国だけは増えている」

  中国が増加傾向にあるだけでなく、特許件数もここ5年ぐらいで一番多い。2017

年で見ると、特許出願数の概略は以下の通りである。

  第一位:中国で約138万件

  第二位:米国で約61万件

  第三位:日本で約32万件

  第四位:韓国で約21万件

  第五位:欧州で約17万件

 

3.その他産業財産権に係る出願件数について、

  その他の産業財産権(商標、意匠)及び国際特許出願数(PCT)についても大体、特許件数と同じ傾向で、主要国では横ばいであるが中国の伸びが著しい傾向である。

 

  以上、昨年12月12日に実施された「知財動向と特許庁施策」の説明会で配布された資料の中から一部をピックアップして主としてデータの紹介と感想を述べたが、それにしても、中国の知的財産に係るどの分野においてもその伸びは凄まじいものがあることを改めて認識した。


 


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